2008年11月6日木曜日

中国・元陽 人間がつくった自然の芸術、棚田



元陽。棚田で有名な町。ここにきたきっかけは、どうせベトナム行くから通り道だし寄ってみようってかんじ。そもそも棚田って馴染みないし、だったら観たいじゃんってなった素直な好奇心。だけど前も話したんだけど、この町、霧がすごくて一寸先は闇。何回もずっこけてるし、何回も人とぶつかってる茶万事。太陽さんよ、でてこいやぁ!(高田延彦のマネしてる有田風)








緑春の長街宴という祭りからバックパックを預かってもらっている宿がある元陽に戻ってきた日。ここ元陽に8年住んでるっていう香港人のバックパッカーのおっちゃんに会った。今の時期は天気悪くて棚田はみえないよーって渋り顔ておっしゃる。あいやー。じゃあもうベトナム行っちゃおうかなって思ったけど、明日ここで『街一天』っていう民族の日替わりマーケットがあるからせっかくだから見てきなっよって。うん、そしたら明日晴れることをてるてる坊主にお祈りしながらボカァ寝ます。最後一日にかける。








次の日。まぁもちろん雨。ただこのマーケットってのがすごい。何日か前に『勝村』って場所で同じ民族のマーケット観たんだけど、これ目をもってかれる。ビデオまわしながら、別世界だー別世界って一人で何回もリピートしてる。マーケットはこの辺の民族の人たちが使う日用品を主に売ってる。特に服。いわゆる民族衣装っやつ。そしてここの人達のファッションはグローバル化されていない。日本ではもう普段和服は着ない。洋服を着る。これもまぁわかるように洋(外国)の服なわけなんだけど、じゃあなんで洋服着るかっていうとそら動きやすいからだ。和服着て渋谷とか行ったらそりゃ人が群がるほどに珍しい。今日び、日本で普段から和服を着てるのは八千草薫くらいだ。俺らの世代は生まれたときからもう洋服で育ってる。脳に洋服センスがしみついててて、洋服基本でどの服にしようか選んだりおしゃれしたりする。たとえば洋服着ながら、「この民族衣装のアクセサリーかわいいー、ぷふふー」なんて言ったり。でもここの人たちは逆。民族衣装が基本のスタイルになっている。赤ちゃんからお年寄りまで、それが普段着なんだ。そこからどの民族衣装の柄がかわいいか選んだり、おのおののおしゃれを楽しんでいる。価値観がまったく逆なんだ。今までこんなにがっつりした場所はなかった。その光景が別の世界を想起させた。やっぱり表だったビジュアルってのは世界を決めてる。全身がっつり民族衣装きこんだ女の子が靴屋でスニーカー選んでる姿とかもう別世界。





そして長い散歩しながら気づいたことが2つある。1つ目、どうやらここの人達は犬を食うっぽい。写真家・藤原新也の『メメント・モリ』でインドにて犬が死んだ人間を食う写真をみて気持ちが後ろへ引いてしまったことがあったが、ここではその逆。人が犬を食う。犬肉料理屋さんが何件かある。はじめはマジで食うのかなぁなんて思ってたら、マーケットの道端で思いっきり犬を丸焼きにして捌いてるとこ見てしまった。その犬の感情のある鳴き声に頭が痛くなった。ゴツゴツと。藤原新也メメント・モリ、その逆も然り。このあたりにうろつく野良犬をもう直視できない。




2つ目はこのまちは病院と薬局の数がはんぱないこと。コンビニ感覚で病院がある。お年寄りの数が多いのもわかるけど、多すぎだろ。それが供給過多になってないのがまた怖い。どの病院でも民族のおばちゃんたちでいっぱいで、点滴している光景が見られる。霧って体に悪いのかな?たしかにあんまりいいイメージはしないけど。菌とか繁殖しそうだし。








うわっと、マーケットに夢中になってた。ビデオもそうだけど、ほんと写真が上手に撮れないんだ。でもこれ写真がおもしろくなってる証拠かって思っていいかな。こういうかんじで初心者だけどやっていこう。もっと自分が思うようにできたらいいのに。








そんなこんなマジで夢中になりすぎて棚田のこと忘れてた!やばい。雨降ってるけど、棚田の観えるスポットに行く乗り合いワゴンを探すがこない。そんな中、ひとつの3輪タクシーのおねえちゃんと仲良くなって、秘技の弟キャラで値切り倒してガタガタ道の中連れて行ってもらった。雨だけど、今日が最終日だし行くしかない。もちろん棚田近くで何時間も待つ覚悟でいた。ガタガタ道を走り約1時間。ほんとびっくりするくらいの幸運で、なんとそのあたりがピカーっと晴れてきた。まじ神様にみられてるって思った。そして棚田。ありがとう、やっと観れました。待ったかいがあった。






なんていうか人間が自然をいじって作った傑作。人間と自然の融合。そもそも人間はメシを食うためにこれを作ったわけなんだけど、やっぱり人間って無意識にものを奇麗に作るのかな。というか人間が作物を育てるという行為自体がそもそも自然なのかな。そしたら自然って壮大で尊い。うねりうねったそのビシっと決まった形にひきつけられる。どこまでも続くその棚田をずっと眺めていた。雨が再び降り初めてもずっと。








これでミッションは終わり。やっと霧のダンジョンから脱出できる。じゃす!


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